平成28年度補正予算によるUNIDO経由の支援(5.52百万米ドル)

平成29年3月30日
日本政府は,平成28年度補正予算によって,ソマリア,リベリア,南スーダン,イラン,イラク,トルコ及びレバノンの7か国に対し,国連工業開発機関(UNIDO)が実施する計8件のプロジェクトを通じて,総額約5.52百万米ドル(約6億6千万円)の緊急人道・復興支援を行うことを決定しました。
 
本30日,ウィーン国際センターにおいて,北野充在ウィーン日本政府国際機関代表部大使,李勇UNIDO事務局長,対象国の政府代表部や本件事業を立案した日本人職員を含むUNIDO職員が出席し,本件拠出事業にかかるキックオフ・セレモニーが行われました。
これらのUNIDO事業は,紛争などによる人道危機を経験した社会において,難民,国内避難民やその受け入れコミュニティ,特に,女性や若者等の弱い立場にある人々を対象として行われます。職業訓練や収入の向上,雇用創出を行い,生活基盤の構築を支援することを通じて,社会の安定化に貢献することが期待されています。我が国が推進する,「人道と開発の連携」や,「人間の安全保障」にも資する取組です。
  
セレモニーにおいて,北野大使は,今次事業の上記趣旨について紹介し,人道支援と開発支援の間の「切れ目」においてUNIDOが果たす役割を評価するとともに,これらの事業を通じて,対象国と我が国との間の結びつきが一層強まることへの期待を述べました。また,UNIDOが,対象国の実際のニーズに即した事業によって,目に見える成果を上げてきていることを評価しました。加えて,我が国を含む先進国の技術やノウハウを裨益国の産業化・社会安定化に活かすプラットフォームとしてのUNIDOの機能を指摘し,期待を表明しました。 
 
UNIDO事務局長は,「人間の安全保障」の考え方は多くの国や国連において広い支持を得ていると述べ,これに基づき弱い立場にある個人の自立の支援に焦点を当てた我が国拠出による事業の具体的取組を紹介し,我が国の支援に対して深い感謝の意を述べました。
 
続いて,列席の各国代表からも,日本の支援に対する謝意の表明がありました。特に,イラクの当地常駐代表(大使)からは,日本はイラクの復旧と復興,テロとの戦い等における重要なパートナーであるとして,影響を受けた地域における人道問題への対応と安定化のための日本の支援に感謝する旨が述べられました。イラン,レバノン及びトルコの代表部からも,それぞれの国が抱える難民・国内避難民等の問題への対応において,日本の事業を歓迎する言葉が述べられました。
【関連リンク】
外務省ホームページ

【参考】 平成28年度補正予算による拠出によって行われるUNIDO事業一覧
(1)ソマリア(0.60百万ドル)
「ドブレー,アフマドの帰還民,国内避難民,ホストコミュニティにおける地域安定化支援」
(2)リベリア(0.60百万ドル)
 「ポストエボラ期のリベリアにおける脆弱者とコミュニティのための職業訓練及び雇用創出を通じた社会安定化促進」
(3)南スーダン(0.60百万ドル)
 「南スーダンの経済再建のための女性・青年に対する農業経営力習得自助努力・強靱性強化」
(4)イラン(0.50百万ドル)
 「市場アクセス向上を通じた世界的・地域的市場へのチャーバハールにおける産業の統合促進」
(5)イラク(計1.80百万ドル)
(1)「イラク北部におけるシリア難民,国内避難民及びホストコミュニティーに対する雇用創出と食料安全保障の向上」(0.96百万ドル)
(2)「国内避難民及び帰還民のための安定化,経済回復及び復興支援」(0.84百万ドル)
(6)トルコ(0.84百万ドル)
「トルコにおけるシリア難民のための衣服製造職業訓練」
(7)レバノン(0.60百万ドル)
「職業訓練及び生産能力の向上による農産品加工分野の雇用創出計画」