UNIDOインターン体験記:小沼千晴さんへのインタビュー

2020/12/10


これまでのご経歴についてお聞かせください。
 
 大学で国際関係を学んだ後、新卒で外資系IT企業に就職し、法人営業としての業務の傍らCSRプロジェクトなども手掛けていました。その後、政策研究大学院大学の科学技術イノベーション政策プログラム(修士)に進学し、主に途上国・新興国におけるイノベーションについて研究しました。修士論文では、高価で複雑なITシステムを公益に資するプロジェクトに活用するには、どのような民と官の役割分担が必要なのか、インドの事例を元に考察しました。



国際機関にご関心を持ち、UNIDOでインターンをすることとなった経緯をお聞かせください。
 
 最初のきっかけは、中学生の時にイギリスのサマースクールに参加したことです。そこで初めて、異なるバックグラウンドを持つ人々でも理解して協力し合え、一人ひとりが違っているからこそ価値があるのだということを知り、感動したことを覚えています。それ以来、自分に希望を与えてくれた国際社会に貢献したいと、国際関係の学部を志望するようになりました。国際公務員という職業を知り、漠然と憧れを持つようになったのは高校生の頃からです。
 UNIDOに興味を持ったのは、大学院の教授の下でUNIDOのフラッグシップレポートのバックグラウンドペーパーの執筆に携わる機会があったからです。途上国での産業開発及び技術移転を推進するUNIDOであれば自分の経歴と知識を活かせるのではないかと、インターンを考え始めました。応募書類を準備すると同時に在ウィーン国際機関日本政府代表部に連絡し、UNIDOで勤務する邦人職員の方をご紹介いただき、希望する部署(Innovation and Digitalization Division)で約3か月半のインターンシップを経験させていただくこととなりました。
 

UNIDOのオフィスにて


モデレーターを務めたパネルディスカッションの様子
(左上が筆者)


インターンシップ期間中の業務や、特に印象に残っていることについてお聞かせください。

  インターンでは、Industry4.0のパイロットプロジェクトに携われたことが貴重な経験になりました。オンラインワークショップシリーズでは、インドの自動車部品産業をターゲットに、Industry 4.0とは何か、その実現のために何から始めたらいいのかを考えるためのケーススタディ準備、スライド作成、ビデオ編集などを担当しました。また、チームメイトが主導する自動車産業クラスター促進政策に関する国際比較レポートの調査を手伝い、日本の事例の収集や各国データの整理などを行いました。
 特に印象に残っているのは、所属局長の下で行っているインターンミーティングで、「開発におけるイノベーションとは何か?科学技術イノベーション(STI)の観点から」と題するプレゼンテーションをしたところ、UNIDOが現在、イノベーション、デジタライゼーションに力を入れていることから、局長に高い評価をいただいたことです。このことが契機となって、内部向けの啓発セミナーで、改めてプレゼンテーションを行い、プロジェクトマネージャーをパネリストとして招いたパネルディスカッションをモデレートすることになりました。最前線でプロフェッショナルとして活躍される方に対して自分からインプットするというとても大きな機会を得ることができました。このほか、所属部署が作成中のeラーニングコースInnovation Management Systemに関してコメントをさせてもらうなど、インターンミーティングでのプレゼンテーションから繋がった業務もありました。



今回インターンを経験して感じたことについてお聞かせください。

 国際機関で働くに当たっては、専門性が強みになることを実感しました。私の場合はこれまでのキャリアやアカデミックバックグラウンドがUNIDO、特にインターン先の部署と直結していたため、自分の専門性を活かすことができました。
 今回のインターンでは、国際機関という職場環境が自分に合っているかどうかを確かめることも大きな目的の一つでした。UNIDOでは当初イメージしていた以上に現場との距離が近いことが分かりました。プロジェクト実施の際に出てきた疑問を解消できる場が近くにあるだけでなく、研究で分かったことを実践に活かすことができるなど、リサーチとプロジェクトの両方を備えており、また、何よりも最高にインターナショナルな環境に居心地の良さを感じました。その一方で、読み書きや受け答えといった英語力、プロジェクトマネジメントの経験、途上国での現場経験などが不足している現実も痛感しました。
 また、インターンとして周囲の職員の方々を見ていると、「能力」「学歴」「志」を兼ね備えた上で、「運」「縁」「人間性」「家族のサポート」などのあらゆる条件をそれぞれのタイミングでクリアしている人たちであると感じました。そこからマネージャークラスまで昇っていける人は、さらに特異なものを持っていると思いました。

インターン仲間とホームパーティー
(右から三番目が筆者)




今後の目標についてお聞かせください。

 テクノロジーの恩恵を誰もが享受できる世界の実現を目指しているため、まずはインクルーシブ・イノベーションを推進できる仕事に就き、経験を積んでいきたいと考えています。そしていつか、これまでお世話になった人や応援してくれている人への恩返しのためにも、UNIDOやその他の国際機関で働くことを目指すとともに、国際機関と一緒になってプロジェクトを進めていけるようになりたいと考えています。



国際機関での勤務やインターンを考えている皆様へのメッセージ、アドバイスをお願いします。

 UNIDOでのインターンを経験して、国際機関で働くためには、(1)どうしたら自分が比較優位になるかということを考えて戦略的にキャリアを選択していくことが重要だと思いました。また、何よりも大事なのは、(2)諦めないことです。たとえ失敗したとしても、そこから学び、目標にたどり着くまでやり続けることが必要です。積極的にインターンに参加するなど、国際機関での勤務に向けて、若いうちに足掛かりを作っておくことも重要ではないでしょうか。



ウィーンでの生活はいかがでしたか?
 
 
ウィーンはいくつもの国際機関が集まっており、かつ芸術が盛んな街であるということもあり、国際機関・研究機関に勤務する友人や音楽家の友人もできました。様々な困難や犠牲を乗り越えながらも、自らの目指す道を極めてきた人たちに囲まれる環境は本当に刺激的でした。インターン仲間と語らったり、ドナウ川沿いをランニングしたり、美術館や市場を訪れたりと、充実した日々を過ごすことができました。
 
ランニング中のドナウ川沿いの様子